法人成りのメリットをまとめると、以下の通りとなります。
①消費税が最長で2年間免税になる(資本金1,000万円未満が前提)
法人成りをすると、最長で2年間消費税が免税になります。
もし個人事業で年間100万円の消費税を納付している場合
法人成りすることで最大 100万円 × 2年 = 200万円 の節税を
図ることが可能です。
②税率の違い
所得税・・超過累進税率(最大「45%」)
法人税・・比例税率(一律「(※)23.9%」)
(※)資本金1億円以下の場合、
年所得800万円以下の部分は「15%」
(平成27年9月時点の税率です。)
つまりは個人事業では課税所得が増えれば増えるほど
税率が上がりますので、 所得が一定の基準を超えると、
法人にした方が税額が有利になります。
(ただし、所得税の最低税率は「5%」ですから、
所得が少ない場合は個人事業の方が有利になる
可能性が高いです。)
③給与所得控除の活用による所得の圧縮ができる
法人成りをして、会社から給与をとる形にした場合、
給与所得の計算上「給与所得控除」を所得からマイナスできます。
従って個人事業の事業所得として申告するよりも税額が
有利になることがあります。
(例)「個人事業」事業所得 960万円
↓
「法人成り」により株式会社とし、毎月80万円給与をとる場合
(1)法人の所得
960万円-「80万円(役員給与=損金)×12か月」=0
(2)個人の所得(給与所得)
80万円×12ヶ月-216万円(給与所得控除)=744万円
(3)(1)+(2)=744万円
☆上記の例をご覧いただきますと、法人成りをすることで
960万円 ⇒ 744万円 に所得の圧縮が可能です。
④対外的信用の増大
法人の方が「取引先などへの信用が高い」と言われています。
(もし知らない会社に「取引して欲しい」と言われて
名刺をもらったときに 「○○商店」とあるのと「株式会社○○」と
あるのとでは印象が違いますよね。)
また個人事業と比べると融資も受けやすいため
規模を拡大し経営を安定させるには
法人組織にした方が良い場合が多いです。
⑤青色欠損金の繰越可能年数が長い
青色繰越欠損金の控除可能年数は
「所得税の場合・・3年」 「法人税の場合・・9年」
となっており、青色繰越欠損金を長期間所得から
控除することが可能です。
⑥減価償却が任意償却
減価償却は 「所得税・・強制償却」 「法人税・・任意償却」
となっています。
所得税の場合は赤字でも償却しないといけないですが、
法人税の場合は償却は任意となっていますので、
赤字の際には償却せず、黒字が出たときにのみ償却する、
といったことも 可能です。
※ただし、「中小企業の会計に関する指針」に準拠した処理では
ありませんので、融資を受ける際の保証料の減免が
受けられない可能性がありますからご注意下さい。
⑦事業承継対策が容易
「個人事業の場合」は事業主が亡くなると、事業資産が
直接相続財産となり 事業に支障がでる場合があります。
(特に預金口座が一定期間凍結されますから、
資金を動かすことが出来なくなります。)
「法人の場合」は株式などの出資持分の相続になりますから、
後継者への株式の移転などを計画的に行うことにより、
スムーズな事業承継を行うことが可能になります。
⑧退職金が損金算入可能
個人事業の場合は事業主への退職金は損金に算入できませんが、
法人の場合には適正な額までは損金に算入することが可能です。
※上記につきましては平成27年9月時点の法令を前提に
記事を記載しております。